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シナリオライター・小林教が思ったてきとーなことを書くてきとーなブログです。
by kyo_kobayashi
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アイドル様とマネージャー君 第1話

アイドル様   「今日の撮影どうだった?」
マネージャー君「良かったと思いますよ」
私のマネージャーは、良く言えばクール。悪く言えば冷たい人だ。
今も、「良かったと思いますよ」と言ったが、感情が微塵もこもっていない。
アイドル様   「本当にそう思ってるの?」
マネージャー君「思っていますよ。嘘などついていません」
やっぱり感情がこもっていない。
なんなのよ、もうっ! 私は仕事をこんなに頑張ってるんだから、もっと褒めてくれたっていいじゃないのっ!
アイドル様   「喉が渇いた。ジュース飲みたい」
マネージャー君「はい、どうぞ」
肩に提げた大きめのカバンから、マネージャーは「QOO」のオレンジ味を取り出した。
マネージャーはペットボトルの蓋を開けると、それを私に渡してきた。
アイドル様   (蓋くらい自分で開けるのに、妙なところで気が利くのよね)
それを一気に半分くらい飲みきる。
やっぱりジュースは「QOO」よね。それもオレンジ味。バヤリースオレンジも好きだけど、私は「QOO」が一番好き。
マネージャー君「……ところで、いつまでその格好でいるつもりですか?」
アイドル様   「その格好って?」
マネージャー君「撮影は終わったのですから、服を着たらどうなんですか? ということです」
アイドル様   「そんなの私の勝手でしょ。誰にも迷惑をかけてないんだし、別にいいじゃない」
先ほどまで行っていた撮影は、講談社のどこかの雑誌に載るグラビア撮影だ。どこの雑誌かは忘れたけど、最近はグラビア撮影を頻繁に行っているので、気にしていられないのよね。
仕事を始めた頃は恥ずかしかったけど、慣れてくると水着姿なんて大したことないって思えてくる。
だからマネージャーの前で水着姿をしているのだって、別に恥ずかしくもなんともない。……本当に、恥ずかしくなんてないんだから。
マネージャー君「迷惑とか、そういう問題ではありません。風邪をひくかもしれないから、早く服を着てほしいんです」
アイドル様   「でもこの部屋は暖かいわよ」
マネージャー君「ですが、もう冬になります。早く着替えてください」
アイドル様   「分かったわよ……」
私が返事をすると、安心するようにマネージャーが息を吐いた。
なんだかその仕草が気に障った私は、控え室から出ようとしたマネージャーを引き止めた。
アイドル様   「待ってよ、マネージャー君」
マネージャー君「なんですか、アイドル様?」
アイドル様   「……そのアイドル様って呼び方、いい加減やめてくれない?」
マネージャー君「あなたがマネージャー君と呼ばなくなったら、私もやめますよ」
……誰がやめるものですか。
私はあなたが折れるのを待ってるんだから、絶対に「マネージャー君」という呼び方はやめないんだから。
マネージャー君「それで、なんです? 呼び方を変えることを要求することが、私を呼び止めた理由ではありませんよね?」
アイドル様   「そ、そうよ。別に呼び方なんてどうでもいいの。……わざわざ部屋から出て行かないで良いって言おうとしたのよ」
マネージャー君「……アイドル様。あなたはこれから着替えようとしているんですよね?」
アイドル様   「そうよ」
マネージャー君「それなのに、控え室から出て行く必要はないと?」
アイドル様   「そうよ」
マネージャー君「…………」
アイドル様   「…………」
マネージャーは何かを考えているようだ。彼の顔は変化しないので、何を考えているのかさっぱり分からない。
マネージャー君「……分かりました。あちらを向いていますから、その間に着替えてください。次の仕事もありますから、なるべく早くお願いします」
アイドル様   「分かってるわよ」
私が返事をすると、マネージャーは控え室の扉と向かい合う。まるで私に興味がないようなその反応に、私はムッとしてしまった。
控え室にはカーテンがある。いつもならカーテンを引いてから着替えるのだが……今日はやらないことに決めた。
これから着替える服を持つと、マネージャーのすぐ後ろにパサッと置いた。
意外に近くで音がしたことに驚いたみたいで、マネージャーの肩が少し震えた。
アイドル様   (ふふっ、どんな反応をするのか楽しみだわ)
アイドル様   「これから着替えるけど、振り向いたら会社に言うからね」
マネージャー君「……お好きにどうぞ」
アイドル様   「…………」
アイドル様   (なによ……少しくらい、興味があるようなこと言いなさいよね……。これからあなたの後ろで、この私が着替えようとしているのよ……マネージャー君の、バカ……)
少し項垂れながら、私は水着を脱いでいこうとした。
まず背中に手を回し、ビキニのトップスの紐をほどく。次に、トップスを左手で押さえながら、首にかかっている紐をほどいた。
アイドル様   「…………」
マネージャーはこちらを見ていないし、見ようとする気配もない。
私は思いきって、トップスから手を離した。
アイドル様   「…………」
マネージャー君「……まだ着替え終わりませんか?」
アイドル様   「う、うるさいわねっ。ちょっとくらい待ってなさいよっ!」
マネージャー君「はい」
アイドル様   (何が「はい」よっ、何がっ!? 私が着替えているのよっ! なんで振り向かないのよっ!?)
なんだかすごくムカムカとしてきた。マネージャーのことは土偶だと思うことにして、私はとっとと着替えることにした。
パンツを脱ぎ、トップスと一緒にマネージャーの頭の上に載せた。
マネージャー君「……なんですか、これは?」
アイドル様   「私の水着よ。ちょっと持ってて」
マネージャー君「あまり褒められた行為ではありませんね」
アイドル様   「うるさい黙って」
マネージャー君「…………」
とうとう返事もしなくなった。……いや、それは、私は「うるさい黙って」と言ったからか。
アイドル様   「…………」
自分がどうしようもなくバカで、惨めな生き物のような気がしてきた。
足下に置いておいた下着と服を、私は黙々と身に付けていった。
アイドル様   「……終わった」
着替え終わると、ひと言だけマネージャーにそう言った。
マネージャー君「荷物を」
こちらを見ずに、私の荷物を渡すように言ってきた。
天井に手の平を向けた右手に、バッグの紐をかけた。
マネージャー君「では、行きましょう」
両手に荷物を持ったマネージャーに付いて行くように、私は控え室を後にした。
マネージャー君「…………」
アイドル様   「…………」
会話はない。痛い。沈黙は苦痛だ。
なんでもいいから話してほしい。
怒ってくれていい。
私のわがままを叱ってほしい。
いつもの冷静な口調で、私のことを窘めてよ……。
アイドル様   「あの――」
マネージャー君「ああいったことは……」
アイドル様   「あ、ごめん、何?」
マネージャーが何かを言おうとしたので、私はひと言謝ってから続きを促した。
マネージャー君「……ああいったことは、なるべくやらないでください。ないとは思いますが、スタッフが突然控え室に入ってくる、ということもありえますから」
アイドル様   「うん……」
マネージャー君「もし、その……ごほんっ。アイドル様の身体を……その、誰かに見られてしまうのは、私の本意ではありませんので」
アイドル様   「……どうして?」
マネージャー君「何がでしょうか」
アイドル様   「どうして……私の身体を、誰かに見られるのがイヤなの? 私がアイドルで、あなたがマネージャーだから?」
マネージャー君「……それもあります」
アイドル様   「それ以外にも、何か理由があるの?」
マネージャー君「……このことについては、これ以上話すことはありません」
マネージャーはそう言うと、足早に次の現場へ移動しようとする。
私はなんとか彼に付いて行き、更に問いただしていく。
アイドル様   「ねぇ、どうしてなの? どうしてイヤなのっ?」
マネージャーの考えていることを……マネージャーの気持ちを聞けるかもしれない。
そう思うと、彼を問いただす口が止まってくれない。
アイドル様   「どうして? ねぇ、どうしてなのよっ?」
私の追及に観念したのか、マネージャーの足が止まった。
しかし、顔は相変わらずこちらを向かない。私じゃないどこかを見ている。
マネージャーの前に回ろうとすると、彼の口が開いた。
マネージャー君「勘弁してください、アイドル様。理屈ではないのです。嫌なものは嫌なのです。どうか理解してください」
マネージャーの顔を見ることは出来ない。でも、髪がかき上げられているので、耳は見ることが出来た。
その耳を見た私は……とても満足していた。
だから私は、
アイドル様   「うん、分かったわっ!」
と返事をしていた。
マネージャー君「分かっていただいて何よりです。車は少し離れたところに止めてありますので、ここで待っていてもらえますか?」
アイドル様   「私も行くわ。1人で待っていても暇だもの」
マネージャー君「そうですか。では、行きましょう」
彼は私が歩き出すのを確認することもなく、勝手に行ってしまおうとする。
いつもなら文句を言うところだけど、今日はそれで構わない。
だってマネージャーの斜め後ろを歩けば、好きなだけ真っ赤になった彼の耳を眺めることが出来るんだもの。


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どうも、小林です。

唐突に始めたweb小説は、いかがでしたでしょうか?

微エロがありましたけど、あれくらいなら全年齢ですよね。本当はもっと詳細を書こうかなぁと思ったんですけど、それだとブログに載っけることが出来そうにないので、却下にしました。

なんでいきなりweb小説を始めたのかというと……ブログに書くネタが無かったからです。

まぁ、それだけじゃなくて、「アイドルとマネージャー」モノの小説を書いてみたいって思ったからなんですけどね。

それにしても……何も考えずに書き始めても、意外となんとかなるものですね。



☆オススメのページ☆

【アニメ】「ココロコネクト」TVアニメ化決定!
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へぇ、「ココロコネクト」アニメ化するんだぁ。……まだ読んでねぇよーーっ!


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自宅作業の効率をアップさせる10の方法
http://rocketnews24.com/2011/09/09/128678/

自宅作業をしている俺としては、大変貴重な記事でした。参考にさせてもらいます。


津波を見に行ったら流されそうになり、急いで退避する映像
http://bakusyouten.blog92.fc2.com/blog-entry-5181.html

この人、よく助かったなぁ。運が良かったとしか言いようがない。
正直、ぼくたちは津波の怖さを侮っていたように思う。津波が来たらすぐに避難。それを胸に刻んでおきましょう。
by kyo_kobayashi | 2011-10-17 23:57 | web小説

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なんかください。(傲慢過ぎ)

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