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シナリオライター・小林教が思ったてきとーなことを書くてきとーなブログです。
by kyo_kobayashi
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ストーカー、始めました。 第8話

どうも、小林です。

『ストーカー、始めました。』第8話をお送りします。
まだどれも読んだことがない人は、第1話から読んでいただけると嬉しいです。
『ストーカー、始めました。』を読むには、右のカテゴリの『ストーカー、始めました。』から。

第8話を読むには、下の「More」をクリックしてください。







           □ ■ ■

 記憶し、記録する。
 現在を振り返るために、未来がある。
 未来を見るために、過去を残す。

           ■ □ □

 七月上旬。水曜日。天気、晴れ。バイト、休み。
「うん、絶好の尾行日和だな」
 今日はバイトが休みなのを利用して、鈴原さんの普段の生活をウキウキウォッチングする予定だ。
 まぁ、会社の中に入られてしまっては尾行も何も出来ないので、行きと帰りを見守るだけになるだろう。
 今日はそれで充分だ。本日の俺の目的は、鈴原さんの通勤コースを確かめることだからな。
 一応、会社の場所は分かっている。ただ、会社へ向かう道がいくつかあるので、駅に着いてからどの道筋で会社に行くのかは分からない。今日はそれを把握するのが主な目的だ。
 そばにはバッグが置いてある。中には望遠レンズを既に装着したデジカメが入っていた。デジカメを入れておいたのは、もちろん彼女を撮影するため。一番の目的は通勤コースの確認だが、チャンスがあれば鈴原さんのスーツ姿を撮りたいと思っている。
 デジカメを購入してからそれなりに時間も経っているので、一応鈴原さんの盗撮には成功している。……ちゃんと見られるのはほんの数枚だが。
 最近のデジカメは優秀なので、カメラ素人の俺でもピントを合わせるのは簡単。ただ、対象は当然動いているので、上手くフレーム内に収まってくれないのだ。なんとか撮影出来たとしても、上半身が辛うじて入っているだけだったり、首から下しか写ってなかったり……と、散々な写真しか撮れていなかった。
 なんとか見られる写真は、パソコンに保存してある。バイトの都合で鈴原さんに会えない日などは、それを見て気を紛らわせていた。
『行ってきます』
 盗聴器の受信機から、彼女の声が聞こえた。部屋には誰もいないのに、出掛ける時はいつも「行ってきます」と言っていた。
 少し前までは着替え中に盗聴するのは悪いと思い、スイッチを切っていた。今は部屋にいる時はずっとスイッチを入れている。ストーカーとしてのレベルが上がったから、当初持っていた遠慮がなくなってしまったのだ。
 受信機から聞こえる衣擦れ音やシャワーの音、そして僅かに聞こえてくる寝息。それらを耳にするたびに、俺はひどく興奮を覚えた。
 受信機と壁の向こうから、ドアが閉まる音が聞こえた。受信機のスイッチを切り、耳を澄まして外の音を聞こうとする。
 足音が聞こえ、階段を下りる音がした。窓を少しだけ開くと、外の様子を確認する。
「行ったか……」
 スーツに身を包んだ鈴原さんが、駅に向かって歩いて行く姿が見えた。俺は慌てずに用意していたものを手に取る。
 部屋を出て鍵を閉めると、俺も駅へ向かって歩き出す。
 歩き出すとすぐに、鈴原さんを見つけられた。遠いので顔を確認することは出来ない。でも、あの背格好と歩き方は間違いなく彼女だ。
 あまり早く歩くと追いついてしまうので、いつもより少し遅めの歩みとなった。
「……撮りたい」
 颯爽と歩く後ろ姿を見ていると、この瞬間を残しておかないのがもったいない気がしてきた。念のため周りに誰もいないことを確認すると、バッグからデジカメを取り出す。
 デジカメを起動させる。この僅かな時間すらももどかしい。
 ようやくデジカメが起動した。急いで構えると、鈴原さんの後ろ姿をフレームの中に捉える。そして、ピッという音がして、写真が撮れたことを教えてくれる。
 歩きながらちゃんと撮れたかどうかを確認する。
「よし、練習の成果が出てるな」
 あまりにもカメラの撮り方が下手なので、俺はバイトの休みを利用して練習を重ねていたのだ。それもこれも全て、鈴原さんを写真に収めるためだ。
 その甲斐あって、今撮った写真はしっかり彼女の後ろ姿を写していた。顔が写っていないのは残念だが、後ろ姿もそそるものがある。
 やはり、鈴原さんのストーカーになって正解だったな。
 デジカメをバッグにしまうと後を追う。
 彼女は駅に着くと改札を通り、右の方へ移動した。俺も改札を通る。右を見てみるが、鈴原さんの姿を見つけることが出来ない。奥の方へ行ったのかもしれない。
 少し歩くと見つけられた。きっと、あそこがいつも乗り降りしている場所なのだろう。
 電車通学や電車通勤をしている人は、だいたい乗り降りする場所を決めている。大学生の時、電車を待っていると周りにいる人がいつも見るような人たちばかりだった。その中には大学生らしき人もいたし、サラリーマンもたくさんいた。
 だから鈴原さんも、きっとそんな人たちと同じに違いない。
 俺は彼女が乗る隣の車両の列に並ぶ。同じ車両に乗っていたら、尾行していたのがバレるかもしれないからな。
 やばて電車がやって来た。念のため彼女が電車に乗るのを確認してから、俺も乗り込んだ。席は全て埋まっていて、座ることは出来なかった。

 鈴原さんが下りる駅に到着した。彼女が勤めている会社と最寄りの駅は、これまでの付き合いの中でちゃんと仕入れてある。
 隣の車両なので、鈴原さんが電車を下りるところを見ることは出来ない。かといって、慌てて電車を下りたところを彼女に見つかっては元も子もない。この駅の周辺にはたくさんの会社があるので下車する人は多い。人混みに紛れ込めば見つかる可能性は低いだろうが、見つからない可能性がないわけではない。
 ドアが閉まる直前に電車を下りる。すぐに鈴原さんを探すが、これだけ人がいてはそう簡単に見つかるはずもないか。
 とりあえず、一番近い改札口に向かって歩き出す。もちろん彼女を捜しながらだ。
「……見つからないな」
 結局、彼女の姿を見ることのないまま改札を抜けてしまった。
 失敗したな。見つかることを恐れず、電車をすぐに下りればよかったかもしれない。
 自分の行動を後悔しても後の祭り。鈴原さんを見つける方法を考えよう。
(会社は確かこっちだったな……)
 改札を出て左が、彼女が勤めるN社へ行く方向だ。
 もしかしたらまだ改札を出ていないかもしれないし、目立たない場所で見張っていよう。
「…………」
 人の流れを見ていると、不思議な気分になる。
 みんな似たような表情をして、似たような服を着て、同じ方向に歩いて行く。
 俺はその流れには乗らず、好きなことをやることで立ち止まっている。
 同じ場所にいるのに、この人たちと俺は違うんだと言われているように感じた。
「え……」
 そんなことを考えていると、一人スポットライトを当てられたような人を見つけた。
「鈴原さん……」
 それは、俺が捜し求めていた人。
 彼女は人混みの中にありながら、他の人たちとは違う何かを放っていた。
 それが何かは分からない。
 鈴原さんは美人なだけの人じゃない。特別な人なんだと思った。
だからこれだけの人がいても、俺は彼女を見つけられたんだ。
 改札を抜けると、俺に気が付くことなく会社がある方へと歩いていく。
「……追いかけなくちゃ」
 いつまでも見惚れていては、また見失ってしまう。そうなっては会社へのルートを把握することが出来なくなる。
 俺はある程度の距離を保ちながら、彼女のことを追った。

 会社までの道のりで、俺が鈴原さんを見失うことはなかった。
 今は駅からほど近いファーストフード店の二階にいた。この店の前の道が、会社へ行く際の通り道となっていた。
 尾行をしていた時に、この店から鈴原さんの姿を撮影出来ないかと考えていた。その下調べのために入ってみたのだが……予想以上に絶好の撮影ポイントだった。
 ここからなら会社に向かう姿も、帰るために駅へ向かう姿も撮影することが可能だ。
 周りを見てみると、誰もが自分の世界に入り込んでいた。ある者は音楽を聴きながら食事をし、ある者は書類と睨めっこをし、ある者は両腕を枕にして机に突っ伏して眠っていた。
 この様子なら例え外を撮影しても、咎められることはないだろう。客の数も少ないし。
 下調べだけでなく腹ごしらえも終わったことだし、駅からN社までのルートを歩こう。
 普段鈴原さんが歩いている景色を見ることで、彼女の生活の一端を感じたかった。それと、このファーストフード店のような撮影ポイントを探すという目的もある。
 そうと決まれば早速行こう。
 俺はトレイとゴミを片付けると、スタート地点である駅へと向かった。



続きは↓からどうぞ。
ストーカー、始めました。 第9話
by kyo_kobayashi | 2011-08-09 02:18 | ストーカー、始めました。

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